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「自社が言いたいこと」から「顧客が知りたいこと」へ、事業部の言葉が揃った日

自動車の生産設備開発から特殊車両の企画・製造、車両整備関連サービスまで、複数の事業を展開する自動車関連設備メーカーで実施したマーケティング研修について、担当講師に話を聞きました。

CLIENT PROFILE

業種
自動車の生産設備開発、特殊車両の企画・製造、車両整備関連サービスなど、複数の事業を展開する自動車関連設備メーカー

研修形態
対面・グループワーク型/全6回(1回2時間)、2週間に1回のペースで実施

受講者
各事業部の担当者・営業担当者など

講師紹介

講師:清水 浩介
DX BOOSTER マーケティングコンサルタント
マーケティング歴:10年


主な実績
データ分析を軸に、toC向けECのオムニチャネル最適化から、toB企業のマーケティング組織づくりまで、業種・商流を問わず幅広い事業成長を支援。売上前年比150%達成など、具体的な成果創出に数多く携わる。

専門性・強み
データに基づいた顧客ニーズの洞察と、Web広告・SEO・CRMなど多様な施策設計。初学者から熟練者まで理解度に合わせた実践的な指導。

この記事の要約

今回取材したのは、自動車の生産設備開発から特殊車両の企画・製造、車両整備関連サービスまで、複数の事業を展開する自動車関連設備メーカーでの研修事例です。各事業が独自に顧客接点を持ちながらも、購買体験のプロセスが事業ごとに閉じてしまい、局所的な改善にとどまり成果を最大化できていない、という課題を抱えていました。

なぜ「顧客視点で考える型」を共通言語にすることが大切なのか

複数の事業を持つ組織ほど、それぞれの担当者が自分の商材には詳しくても、「顧客が何を求めているか」を捉える基準は事業ごとにバラバラになりがちです。共通の型がなければ、ある事業部で得られた気づきも、言葉や前提が違う他の事業部には伝わらず、局所的な改善にとどまってしまいます。逆に、事業をまたいで同じ「顧客視点で考える型」を共通言語にできれば、各現場の気づきを組織全体の知恵として蓄積し、横展開していくことができます。研修では3C分析やカスタマージャーニーマップといったフレームワークを使い、まさにこの共通言語を各事業の担当者が実際に使いながら身につけていきました。


講師インタビュー

――今回は、自動車の生産設備開発から特殊車両、車両整備関連サービスまで、複数の事業を展開する自動車関連設備メーカーでの研修について伺います。

● どんな課題感で依頼が来たのでしょうか?
講師 複数の事業を展開する中で、グループ内外問わず幅広く案件を獲得していくために、マーケティングの仕組みを組み立てていき、各部内で推進できる体制を整えたい、というお話でした。ただ、これまで社内で「マーケティング」に本格的に取り組んだことはなく、進め方も手探りの状態だと伺っていました。まずは社内のメンバーがマーケティングという考え方そのものを知り、共通言語化できることが最初のゴールでした。

● 今回実施した研修はどのようなものでしたか?
講師 私たちが提供しているDX BOOSTERは、実務の課題をそのまま教材にしながら、顧客理解から戦略実行までを一気通貫で身につけていただく、実践型のマーケティング人材育成サービスでして、座学でわかった気になって終わるのではなく、自社の商材を題材にしたワークを通じて、明日から使える視点として定着させることを大切にしています。今回は複数の事業部から参加者が集まる研修でしたので、それぞれの事業に共通して使える「考え方の型」を持ち帰っていただけるよう、この枠組みの中で設計しました。

● 具体的にはどんな内容で進めたのでしょうか?
講師 全6回で設計しました。1回目はデジタルマーケティングの全体像を掴む回。そこから3C分析、バリュープロポジション、カスタマージャーニーマップ、ギャップ分析というフレームワークを順番に扱い、最終回でWebサイトやWeb広告、SEOといった具体的な打ち手とその効果まで学んでいただきました。理論だけで終わらせず、毎回必ず自社の商材を題材にしたグループワークを挟んで、次の回にはすぐ実務で試せる状態を意識した流れにしています。

● 印象に残っているシーンはありますか?
講師 事業部ごとにワークの中身が全く違っていて、それぞれ面白い発見がありました。産業用設備を扱うチームは、競合各社のホームページを見比べて、「自社の看板を押し出すタイプ」と「商品そのものを分かりやすく伝えるタイプ」の二極化に気づき、自分たちの見せ方にも工夫の余地があると気づいていました。特殊車両を扱うチームは、専門性の高い商材ほど、顧客が知りたいのは値段そのものではなく「細かな仕様の違い」や「具体的な導入事例」だと分析していましたし、車両整備・保険を扱うチームは、検索結果が価格競争一色になっている現状を目の当たりにして、自分たちの提供価値は安さではなく「無駄を省いた最適化」にあると言語化していました。扱う商材はまったく違うのに、それぞれが「顧客は何を見て、何をもとに比較・判断しているのか」という同じ問いに向き合っていたのが印象的でした。

● 自社の強みを言語化するワークでは、どんな声が出ましたか?
講師 「対応力」や「一括で受注できる範囲の広さ」、「他では直せないものを直す技術力」など、事業ごとに異なる強みが出てきました。個々には気づいていたけれど、顧客が求めているものと結びつけて言葉にしたことはなかったようです。ある事業のチームは「どこに相談したらいいか分からない」という悩みに対して、「車検から板金、保険までワンストップで応えられる」という一文にまとめ、別のチームは「導入事例や安全性を知りたい顧客のために、問い合わせ先まで併記した導線を作りたい」というアイデアを出していました。

● 受講者からの反応はどうでしたか?
講師 アンケートでは、SEOや広告の仕組みについて学びがあったという声はもちろん多かったのですが、それ以上に「自社が伝えたいこと」と「顧客が知りたいこと」は必ずしも一致しない、という気づきに関する声が目立ちました。営業担当の方からは、普段のヒアリングの仕方を振り返る良い機会になった、といったお声もいただいていて、知識としての理解だけでなく、日々の仕事の姿勢そのものを見直すきっかけになっていたようです。

● 逆に、ワークの中で見えた課題はありましたか?
講師 チャネルごとの購買体験が事業部ごとに閉じてしまっていて、局所的な改善はできても、会社全体として一貫した設計にはなっていない、という点は改めて浮き彫りになりました。展示会や業界データベース、Webサイトなど、それぞれの接点自体は機能していても、それらをひとつの体験としてつなげる視点はまだ弱い。逆に言えば、そこに大きな伸びしろがある、という発見でもありました。

● 研修を終えて、このお客様は具体的にどのような価値を得られたと感じていますか?
講師 一番大きいのは、事業部が変わっても、同じフレームワークで自分たちの強みを言語化できるようになったことだと思います。その中身を見ていくと、「自社視点」から「顧客視点」へ、考え方の起点が変わったことが土台にあります。事実ベースで判断する、希望的観測を含めない、という姿勢も含めて、マーケティング的な思考の型を、商材の異なる事業部同士でも共有できたのは大きかったと思います。

● 今後の展望としては、どのような方向性を見据えていらっしゃいますか?
講師 「概念を理解し、共通言語を持てた」というのが今回の到達点で、次は実務で成果を出すフェーズに移っていく段階だと理解しています。座学の知識を土台に、施策の企画・実行・改善のノウハウを磨いていくこと、その中でもWebマーケティングと親和性の高い事業から着手して、小さな成功体験を積み重ね、そのノウハウを他の事業部にも横展開していく、という流れが考えられそうです。リード獲得のための情報発信の設計や、獲得した見込み客をどう育成していくかといったテーマにも、今後取り組んでいくのではないかと感じています。

● どんな企業におすすめですか?
講師 複数の事業を抱えていて、それぞれの現場に強みや知見があるのに、それが事業部同士で共有されていない、という組織には特に効果があると思います。マーケティングという言葉に馴染みがなくても、事業部を横断して同じ問いに向き合うことで、思った以上に共通する部分が見えてきます。まさに今回のようなお客様に向いている研修だと思います。


編集後記

今回の取材を通して伝わってきたのは、「自社が伝えたいこと」から「顧客が知りたいこと」への視点の転換が、事業部を横断して同じ言葉で語られるようになっていく過程でした。扱う商材も、顧客層も、担当者の経験もまったく異なる複数の事業が、共通のフレームワークを通すことで、初めて同じ土台で議論できるようになる。それこそがこの研修の価値だと感じます。

特に印象的だったのは、研修の効果が「知識を得た」で終わらず、局所的な改善にとどまっていた購買体験の設計や、事業部同士の連携という、より大きな課題に対する気づきにつながっていた点です。理論を教える研修は数あれど、事業ごとにまったく違う商材を扱う受講者が、それぞれの現場の言葉で自社の強みを語れるようになるところまで橋をかける設計は、決して多くありません。

この研修が特に効くのは、複数の事業や部門を抱えていて、それぞれの現場には確かな強みや知見があるのに、事業部の壁を越えて共有される機会が少ない組織だと感じます。歴史のあるメーカー系企業や、事業の多角化が進んだ製造業などには、同じ構図が少なくないはずです。「マーケティング」という言葉に馴染みがない組織ほど、実は伸びしろが大きい。そのことを、今回の取材で改めて実感しました。

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