DX BOOSTER

ブログ

ブログ キービジュアル

活用事例から学ぶ自社でDXを推進する方法

デジタル技術を活用し、ビジネスの変革や新たなサービスの創出につなげるDXは、激しく移り変わっていく市場の中で、競争優位性を保つための重要なポイントです。同時に、DXの実現によって業務効率化や生産性の向上を図れれば、労働負担の軽減や働き方改革の推進にもつながるでしょう。

DXを推進するときは、現状把握と適切なデータ活用・分析を行い、数値に基づいた戦略を立案することが求められます。本記事では、DXの基礎知識や、データ活用でDXを推進する方法、参考にしたい具体的な活用事例などについて解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か?

経済産業省が公開している「デジタルガバナンス・コード2.0」によれば、DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義は下記のように紹介されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」 

引用:デジタルガバナンス・コード2.0│経済産業省

近年は顧客ニーズが激しく変化するとともに、デジタル技術の進歩も目覚ましいものがあります。このような背景の中で、デジタル技術を有効活用し、顧客ニーズにスピード感を持って対応していくことが重要です。

「DX」と「IT化」の違い

DXとIT化はしばしば同じもののように思われがちですが、実際には異なる考え方です。

DXとは、前述のように「デジタル技術を活用して、ビジネスの変革により競争力を向上させること」を指します。一方で、IT化は「企業や組織の業務を効率化するために、デジタル化を推進すること」です。

このように、DXとは「ビジネスの変革」を目的としており、そのための手段としてデジタル技術を取り入れます。一方、IT化は「業務効率化・省力化」を目的として、そのための手段としてデジタル技術を取り入れるという違いがあります。

DX推進で自社のビジネスがどう変化するか?

DX推進によるビジネスの変化には、業務効率化や生産性の向上、新しいビジネスモデル・サービスの創出、働き方改革の推進など、さまざまなものがあります。ここでは、具体的な4つの変化について解説します。

1.業務効率・生産性が向上する

DX推進によって起こる変化のひとつに、業務効率・生産性の向上が挙げられます。ITツールを導入することによって、業務の自動化を図るのも業務効率化の一種です。例えば、RPAツールを導入することで、これまで人の手で担っていた定型業務を一部自動化することができます。

また、人間が担当している業務を機械化できれば、ヒューマンエラーの削減にもつながり、業務品質の向上も可能です。他にも、DX推進の過程でこれまでの業務プロセスを見直すことで、非効率なオペレーションを改善し、効率化につなげる効果も期待できるでしょう。

2.新しいビジネスモデル・サービスを創出する

DXを推進することで、新しいビジネスモデル・サービスの創出にも役立ちます。

DXによってデジタル技術を導入すると、アナログで運用するのが難しい膨大なデータを収集・分析・活用できるようになります。データ活用によって、これまで思いつかなかったような新たなビジネスモデルや商品価値を発見し、売上拡大や顧客満足度の向上を図ることも可能です。

3.働き方改革が進む

DX推進は、働き方改革の推進とも密接に関係しています。

例えば、テレビ会議システムやビジネスチャットツールなどのコミュニケーションツールを導入することで、社内のリモートワークを推進できます。リモートワークにより、どこからでも仕事ができる環境が整うことで、優秀な人材の確保や、拠点分散によるBCP対策(※)の推進を実現できるでしょう。スマホを通じて営業日報を作成できるようにするなどの取り組みも、働き方改革の一種です。

DX推進によって業務効率化が進めば、従業員一人あたりの負担が軽減され、業務時間の削減や残業時間の短縮にもつながります。このような労働環境の改善は、従業員満足度の向上にも寄与します。

※BCP(事業継続計画)対策:企業が災害等の緊急事態に遭遇した際、損害を最小限にとどめて事業継続や早期復旧を可能とするために、平常時や緊急時の対応を取り決めておく計画。

4.競争上の優位性を持てる・顧客満足度が向上する

DX推進は、市場において競争上の優位性を持てる点でも効果的です。

近年ではDX推進が随分と進んできましたが、まだまだ取りかかれていない企業も数多くあります。例えば、DXによってデータ活用が進めば、より高品質な商品の開発や新しいサービスの提供が可能になり、顧客満足度の向上も実現できます。顧客満足度の向上によって新規顧客の増加やリピーターの囲い込みがしやすくなり、売上拡大にもつながります。このようにいち早くDX化を推し進めれば、競合他社に比べて優位性を保ったビジネス展開が期待できるでしょう。

企業がデータ活用でDXを推進する方法

企業がデータ活用によってDXを推進する際は、次の3つの手順で進められることが一般的です。

  1. 現状把握・目的の明確化
  2. データ活用・分析
  3. 戦略立案・施策の実行

ここでは、上記の3つのDX推進方法について、具体的に解説します。

1.現状把握・目的の明確化

DXに取り組む前に、まずは現状を把握し、自社のどのような課題を解決すべきなのかを明確にする必要があります。DXにはさまざまな方向性があることから、具体的な課題がわからなければ、どのようなツールを導入するか、どうルール整備を行えばよいのかを決めることはできません。

そのため、課題を明らかにし、どのように解決するのかを決めていきます。DX推進においてはデータを活用してさまざまな課題を解決しますが、データをどのような用途に活用するのかを明らかにした上で、必要なデータを収集したり、ツールを導入したりしましょう。

2.データ活用・分析

課題解決のために必要なツールの導入やルール整備を行い、実際にデータ収集を行った後は、データ活用と分析を行います。収集したデータは、クラウド環境や自社で運用するサーバーへ保存して、スムーズに取り出せる管理体制を整えましょう。

収集するデータは顧客の訪問履歴や購買履歴、会員情報、Webサイトの回遊情報、設備の稼働時間、POSデータなどさまざまです。課題に合わせて適切かつ十分なデータを集め、最適なDX推進につなげることが大切です。

3.戦略立案・施策の実行

データ活用と分析が完了したら、具体的な戦略を立案します。データから得られた数値的な根拠を基に、効果的な施策を打ち出し、実行に移しましょう。適切なデータ活用と分析を行うことで、施策の効果をより高めることが可能です。

施策の実行後は必ず効果測定を行い、改善策を見つけ出して、次回に反映することが求められます。

DX推進のために企業が乗り越えるべき課題

DX推進のために企業が乗り越えるべき課題として、社内理解やIT・デジタル人材の確保などが挙げられます。ここでは、2つの観点からそれぞれのポイントを解説します。

1.社内理解

DXをスムーズに推進するためには、自社の従業員から理解を得ることが重要です。DX推進において、社内のルールやシステム、業務プロセスなど、さまざまな部分が従来とは大きく変化します。したがって、事前に社内の理解を得ておかなければ、変化への反発が起こる可能性もあるためです。

DX推進に取り組む前に、まずは経営陣をはじめとしたトップ層がリーダーシップを取り、DXの重要性を率先して自社の従業員へ伝えることが求められます。十分に社内の理解を得た上で、組織に所属している従業員全員がDX推進の意義を理解していれば、取り組みをスムーズに進められるだけでなく、DX推進の効果も高められます。

2.IT・デジタル人材確保

DX推進のためには、IT・デジタルに関する知識やスキルを持った人材の確保が必要不可欠です。しかし、IT・デジタル分野に精通した人材は限られており、市場で取り合いが発生しやすい状況にあります。

IT・デジタル人材を確保するための方法としては、採用・育成・外部委託などが挙げられます。市場の人材が枯渇しており、採用によって確保することが難しい場合は、自社の人材を新たにIT・デジタル人材として育成する方法が考えられるでしょう。

しかし、DX推進を急いでいる場合やそもそも育成できる人材が自社にいない場合など、1から育成することが難しい状況においては、外部委託を検討することも選択肢のひとつです。

企業のDXの活用成功事例

自社がDXに取り組む際に、他社がどのようにDXへ取り組み、成果を上げているのかを知ることは有効です。ここでは、企業のさまざまなDX取り組み事例を紹介します。これからDXの施策を始めようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車では、製造過程やお客様から得られたデータを、今後の技術開発へタイムリーにフィードバックできないという課題を抱えていました。また、さまざまな社会変化に危機感を持ち、全社的なデジタル化に乗り出します。

まず着手した「工場IoT」では、現在有している資産も活用し、2~3年かけて段階的に工場横断の共有プラットフォームを準備しました。デジタル活用においては、社員の教育支援や人材育成も進めつつ、製造現場の各社員が小規模なプロジェクトに取り組みました。さらに、各事業部・工場での取り組みを増やしていくことで、全体の費用対効果を上げることに成功しました。

その後は「開発」「市場」「工場」の相互連携を目指し、「工場IoT」で得られた成果やノウハウを基に、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンのデジタル化に着手し始めています。

出典:製造業DX取組事例集│経済産業省資料

ヤマハ発動機株式会社

ヤマハ発動機株式会社では、自社の課題を地道に解決しながら売上拡大につなげるアプローチを行っていました。しかし、経営目線に立った戦略的なアプローチが不十分であるという点が課題で、製造システムや基幹システムが社内の各拠点で個別最適化されており、やり取りが非効率な点も解決しなければならない課題のひとつでした。

そこで、合宿や1on1ミーティングを実施して経営陣の意識改革を促すとともに、「デジタル戦略部」を設立し、未来のビジネスを創出したり、既存ビジネスの効率化を図ったりする戦略を打ち出しています。

デジタル戦略部では、「デジタルマーケティング」「スマートファクトリー」「コネクテッド」「データ分析」の4つのテーマから数十回のPoC検証(※)を行うことで、生産量に占める不良品の割合が低減したなどの成果が表れています。

※PoC検証:あるアイデア等が実現可能か、実現した際に期待する効果が得られるかどうかを検証すること。

出典:製造業DX取組事例集│経済産業省資料

株式会社松浦機械製作所

株式会社松浦機械製作所では、海外の取引先が多く、新型コロナウイルスの流行によって非対面での営業が必須の状況となったことから、「DX推進室」を設立して営業コンテンツのデジタル化を推し進めました。

営業担当者から必要なコンテンツのアイデアをヒアリングし、説明に必要な動画をすべて用意しました。特に営業現場からリクエストが多かった工場見学の動画は、コロナ禍でキャンセルとなっていた工場見学の代替手段やエンドユーザーとのコミュニケーション手段として活用することに成功しています。

また、これまで口頭で説明していた修理手順を映像で解説できるようになったことから、業務効率化にも一定の成果を上げることとなりました。今後はさらなるDX戦略の推進を図るとともに、IT人材の育成にも注力していく方針です。

出典:株式会社松浦機械製作所- 事例を探す(事例ナビ)|経済産業省 中小企業庁 ミラサポPlus

事例からわかるDX推進のポイント

デジタル技術を取り入れたビジネス変革や新たな顧客体験価値の創出を目指すDXは、市場における競争優位性を維持していく上で重要です。さらに業務効率化や生産性の向上、働き方改革の推進を実現することで、従業員満足度の向上にもつながります。

DXを推進する際は、現状を把握した上で目的を明確にし、データ活用・分析を行ってから具体的な戦略の立案・実行に移すことが大切です。

DX推進のための人材やノウハウが不足している場合は、デジタルマーケティング担当者自走支援サービスの「DX BOOSTER」をご検討ください。社内のDX推進の鍵を握るデジタルマーケティング人材を、事業や課題に合わせて個社別にカスタマイズしたプログラムを提供し半年間で育成いたします。

お気軽に資料請求・
お問い合わせください

お問い合わせいただきましたら、後日担当者よりご連絡いたします。
詳細の説明をご希望でしたらオンラインにて30分ほど打ち合わせの場を設けさせていただきます。