DX人材育成は社内で実現できる!方法やメリットなどわかりやすく解説
DX推進が進む現在、DXを推進するための人材不足に課題を抱えている企業も少なくありません。DX人材にはさまざまなスキルが要求されるため、自社のDX推進に対する条件を満たした人材を確保するのは難しいとお悩みの現場も多いでしょう。
人材不足を解消するために、外部からの採用ではなく、社内の人材をDX人材へと育成する取り組みが注目されています。本記事では、人材育成を社内で行う方法やフロー、得られるメリットなどについて詳しく解説するので参考にしてください。
目次
DX人材とは?
DX人材とは、DXの推進を担う人材を総称する言葉です。業務効率の向上や新システムの選定・導入準備、データ利活用など、活躍の場は幅広くあります。そもそもDXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略称であり、最新のデジタル技術やITシステムを活用して業務変革を促す取り組みのことです。ここでは、DX人材において企業が抱える課題や注目される背景、IT人材との違いについて詳しく解説します。
IT人材との違い
DXとIT人材という言葉は、しばしば同じもののように捉えられがちですが、実際には異なるものです。IT人材とは2000年前後に初めて登場した言葉で、新たな情報システムの導入を企画・検討し、実際に現場へ導入して運用するためのスキルを持った人材を指します。
DXが初めて提唱されたのは2004年のスウェーデンだといわれており、DXが提唱されるとともに登場するようになったDX人材という考え方は、IT人材に比べるとやや新しいといえるでしょう。
DX人材とは、DXを推進するためのスキルを持つ人材を指しており、IT人材とは「IT技術を活用して何を達成するのか」という点を指しています。IT人材は「IT技術を現場に導入・運用するスキルを持った人材」のことですが、DX人材は「IT技術を現場に導入・運用し、社内風土の変革や新たなビジネスモデルの創出を担う人材」のことを指しています。
企業が抱えるDX人材の課題
国内でもDX推進が重要視されており、多くの企業がDX推進のための対策を迫られていますが、実際にはDX人材が不足している事例が多く見られます。
既存システムが老朽化・肥大化しているため運用や保守にかかる多くの費用が必要となり、現状維持だけで精いっぱいの状況により、将来に向けた戦略的なIT投資が難しく、IT投資のための資金を確保できない現状が主な原因です。
また、DX推進後の将来的なビジョンが明確になっていないことや、既存システムのブラックボックス化が激しく、システム更改が困難なことなどもDX推進の妨げになる原因のひとつです。このような状況を脱却するためにも、DX人材の確保が不可欠であり、社内でDX人材育成を行う必要があります。
自社内でDX人材育成を行うメリット
プロの事業者へのアウトソーシングは、DXの推進において、企業にさまざまなメリットをもたらします。しかし、自社内でDX人材を育成・活用すれば、アウトソーシングでは得られない他のメリットを受けることも。例えば、システムの一貫性の担保や、容易な社内体制の構築など、さまざまなメリットを挙げることができます。ここからは、こうした自社内でDX人材育成を行うメリットについて、それぞれ解説します。
システムの一貫性を保つことができる
自社内でDX人材育成を行うと、自社のビジネスや業務フローを理解している人材が開発に関わることができるので、システムの一貫性を保ちやすくなるといったメリットがあります。
例えば、外部のベンダーに対して」、新規のシステム開発や既存のシステム改善を丸ごと任せるケースでは、業務知識の不足や、業務フローの無理解などが原因とし、誤った認識のままシステム導入を進めて失敗してしまったり、担当するエンジニアの技術格差が生じたりする可能性が出てしまいます。
結果的に、既存システムと新システムとの互換性に著しい問題が発生し、一貫性のないシステムに仕上がってしまうリスクがあります。自社のシステムに精通した社内のDX人材を育成して開発や改善を任せることで、認識の相違を防ぎ、一貫性のあるシステムを維持したままDX推進を遂行できます。
DX推進に向けた社内体制の構築が可能
DX推進をスムーズに進めるためには、DX推進のための社内体制を構築し、他部門と密に連携を取れるようにしておかなければなりません。
外部から招いたDX人材が円滑にDXを推進するためには、人間関係の把握と構築から始めなければならないため、自社内で育成したDX人材に比べて推進のハードルが高いと考えられます。
外部から招いたDX人材よりも自社内で育成したDX人材の方が、社内関係者とのコミュニケーションが比較的スムーズに進むため、DXの推進に向けて必要な社内体制を円滑に構築できるとみられます。
また、自社内で育成したDX人材は、自社の事業や製品・サービスなどを深く理解できており、将来的に事業の方向性が大きく変化したり、組織が改変されたりした場合でも、迅速かつ柔軟な対応が可能です。
自社に適したDX化を推進できる
システムの開発や保持だけに関わらず、自社内で育成したDX人材には、自社に適したDX化を推進できるというメリットがあります。DX化が行われるのは、既存業務を改善したり、新規事業を立ち上げたりするタイミングが多いため、既存業務や自社システムを深く知り尽くしている社内のDX人材が対応することで企画が誤った方向性に進んでしまうことを防止できます。
例えば既存システムを新システムに入れ替える際に、自社の業務を大きく効率化するための新機能を提案するなど、業務内容や製品を深く理解しているからこそ提案できるDX化があります。自社ならではの付加価値を持たせることで新システムと既存業務が融合し、これまでにはなかった新たなビジネスモデルの創出につながる可能性もあります。
DX人材育成で身につけるべきスキルとは?
DX人材の育成にあたって身につけるべきスキルとして、デジタルリテラシーやヒューマンスキル、ビジネススキルなどがあります。ここでは、3つのスキルがなぜ必要になるのかについて詳しく解説します。
1.デジタルリテラシー
DX人材として活躍するためには、高いデジタルリテラシーを身につける必要があります。近年ではAIやクラウド、ビッグデータなどが注目を集めていますが、ITのトレンドは足早に移り変わっていくため、常に市場にアンテナを張って最新の動向を理解しておかなければなりません。
また、ITに関する基本的な知識だけではなく、効果的にデータ活用を進めるためのデータサイエンスやUI/UXへの理解も必要です。システムを外部から保護し、安全に運用するためのセキュリティ知識など、幅広いスキルが求められます。
2.ヒューマンスキル
DXの推進には、社内のあらゆる部門の協力が必要不可欠です。そのため、DX人材には社内のDX推進プロジェクトで先頭に立ち、プロジェクトを取りまとめて円滑に遂行するヒューマンスキルが求められます。
デジタルに不慣れな人でも積極的にDX推進に参加してもらうためのプレゼンテーションスキルや、予定通りにシステムの導入を推進するためのマネジメントスキルなど、ヒューマンスキルの中にもさまざまなスキルが存在します。
3.ビジネススキル
DX人材が身につけたデジタルリテラシーは、ビジネスで発揮できてこそ自社に利益をもたらします。デジタルリテラシーをビジネスにつなげるためには、IT知識やスキルと自社の業務を正しく把握し、市場のニーズを理解した上で、顧客が求めているものを企画・提案する能力が必要です。
単に導入したシステムを維持・運用するだけでなく、自社の経営にとってプラスに作用する運用方法を考慮しながら試行錯誤し、運用し続けることが大切です。
DX人材の育成を行う方法と基本的なフロー
社内でDX人材を行うためには、DX人材として適正のある人を見極め、研修や講義などを通して必要なスキルを学ばせた上で、OJTの実施や外部とのネットワーク構築などを進める必要があります。ここでは、DX人材の育成を行う方法と基本的なフローを解説します。
DX人材の適正がある人を見極める
まずはDX人材として適正のある人を見極めて、今後の自社のDX推進を任せる人材を定めることが大切です。DX人材として指名するのは誰でも良いわけではなく、適正があります。
例えば、会社の経営や業務を遂行する上での問題点を的確に見つけられる人材は、DX人材に向いていると考えられます。また、見つけた問題点を追求し、解決に導くための意識の高さも重要です。
単にITシステムの導入や更改を任せるだけでなく、DXリーダーを育成する場合には、社内の業務を詳しく把握しており、なおかつコミュニケーション能力が高く、旗振り役として相応しい人材を選定しましょう。DX人材は、役職や部門、年齢などにこだわらず、社内のさまざまな人材を候補とすることが望ましいです。
研修や講義などで必要なスキルやマインドセットを学ばせる
DX人材の候補者を選定できたら、研修や講義を通じてDX人材として活躍するために必要なスキルやマインドセットを学ばせていきます。実際にDX推進を行う際の流れを体験できるハンズオン講座や、外部講師を招いて講義を行う施策も効果的です。
AIやクラウド、IoTなどのITに関わる基礎知識も重要ですが、チームで協力しながらDXを推進するためのリーダーシップや、コミュニケーション能力を磨くための考え方を学ばせたりすることも大切です。
実務に活かせるようにOJTを行う
研修や講義を通じてDX人材としての基本的なスキルやマインドセットを学ばせ終えたら、実務に活かせるようにOJTを実施します。OJTとは、実務経験の中で必要なスキルを培うための育成手法のひとつで、現場において実際にDX推進を担当しながら成長を期待します。
研修や講義で学んだ内容を活かしながら、実務を通じてDX人材としての研鑽を積んでいきます。OJTを成功させるためのポイントは、比較的小規模なプロジェクトから始めることです。最初から大規模なプロジェクトを任せるのではなく、小規模なプロジェクトから段階的にDX推進を進めていくことが大切です。
とはいえ、社内にそもそもOJTを指導できる人材がいなければ、知識を実務に反映させることは困難です。もし、社内にDX化未経験者しかいなくてもこの壁を一緒に乗り越えることができるのがDX人材育成プログラム DX BOOSTERです。
外部とのネットワークをつなげる
OJTによってDX人材としてのスキルが身についてきたら、社内だけでなく、外部とのネットワークをつなげることも忘れずに行いましょう。ITはトレンドの変化が激しいため、常に情報収集を行わなければ、すぐにトレンドの変化に置いていかれてしまいます。
最新の情報を入手できる環境を整えて変化の激しいITトレンドを把握し、すぐにDXに取り入れられるように準備をすることもDX人材の役割のひとつです。新たな技術や知識を学ぶことで、これまでにはなかった新たなDXのアイディアが呼び起こされることもあります。
DX人材育成で企業が押さえておくべきポイントは?
社内で活躍できるDX人材を育成するためには、ITスキル以外のスキルやマインドセットを獲得する必要があります。また、知識のアップデートを定期的に行い、自社に必要なDX人材を適切に把握することも重要です。ここでは、DX人材育成において企業が押さえておくべきポイントについて解説します。
ITスキルの取得だけでは不十分
DX推進を効果的に進めるためには、単にITスキルを取得するだけでは不十分です。DX人材に求められているのは「IT技術を活用してビジネスに変革を起こす」ことであり、そのためには、社内全体の企業風土を変革したり、プロジェクトリーダーとしてチームを先導したりする能力が求められます。
DX推進にあたって経営層や現場で働く従業員の理解を得たり、各部門の協力を取り付けたりするためには、プレゼンテーションスキルやコミュニケーションスキルなど、ITスキル以外のさまざまな能力が必要不可欠です。「DX推進なのだから、IT知識を身につけなければ」という意識だけでなく、その他のスキルを身につける意識も強く持つことが大切です。
知識を詰め込むだけでなくアップデートが不可欠
IT技術は常に変化し続けているため、市場の動向や新たな知識・スキルを学び続ける必要があります。DX人材の育成にあたっては、既存のIT知識を覚え込むのではなく、トレンドの変化を察知して、新しい技術・ツールや流行を柔軟に取り入れるスキルを学ばせると良いでしょう。
前述のようにDX人材の育成方法は、研修や講義を行い、OJTの実践を繰り返すのが一般的ですが、外部とのネットワークから情報を定期的に集めることも重要です。
古い知識のまま新システムの導入をはじめとしたDX推進を進めてしまうと、せっかく導入したシステムがすぐに陳腐化してしまったり、競合他社との競争力が低下したりするおそれがあるため、市場の動向を注意深く観察することが求められます。
自社に必要なDX人材を把握する
DX人材を育成する際は「自社にとって必要なDX人材はどのような人材なのか」を把握することが大切です。企業によってDX推進の目的は大きく異なるため、自社がDX化しなければならない理由はどこにあるのか、DX化によって何を達成したいのかを明確にした上で、必要なDX人材の方向性や人数を見極めましょう。
方向性が異なるDX人材を育成してしまうと、自社が本当に達成したい目的を達成しきれず、人材育成のための時間とコストが無駄になってしまうおそれがあります。また、必要なDX人材の数に対して少ない人数を育成してしまうと、実際にDXを推進する際に人材不足でプロジェクトが頓挫してしまう可能性もあるため、注意が必要です。
企業の成長や課題解決にはDX人材育成が必要
DX推進によって企業を成長させたり、課題を解決したりするためには、DX人材育成が必要不可欠です。外部からDX人材を採用するよりも、自社内でDX人材を育成すると、業務理解の深さや部門間のコミュニケーションの円滑さからDX推進を成功させられる可能性が高まります。
DX人材の不足によって効果的なマーケティングができないといったお悩みを抱えている方は、DX人材育成プログラム「DX BOOSTER」のご利用をぜひご検討ください。実践的なDX育成プログラムを用いて、未経験からでもわずか6ヶ月で現場に通用するDX人材を育成できます。
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