デジタル人材を育成するには?DX推進に求められるスキルや課題・やり方を解説
優れたデジタル技術が存在していても、自社の課題に合わせた適切なデジタル技術を取り入れて実装できるデジタル人材が不在であれば、DXを上手く推進できません。昨今は、デジタル人材の不足が深刻化しており企業外からの調達が簡単ではないため、社内でデジタル人材の育成を行うことが重要とされています。
目次
デジタル人材とは?
DX推進やIT化など、多くの場面で重要になる「デジタル人材」ですが、具体的にどのような人材を指すのか分からない人は多いでしょう。そこでこの記事では、デジタル人材の概要や、求められる背景について解説します。
デジタル人材の概要
デジタル人材とは、デジタル技術に関する最新の知識やスキルを活用し、企業や組織に新たな価値をもたらす人材のことを指します。
企業風土やビジネスモデルの大幅な変革を行う際には、デジタルに関する基礎知識はもちろんのこと、AI(人工知能)やIoTなどの最新技術を含む、デジタル技術をうまく活用できる人材の確保が重要です。
しかし、デジタル技術をただ取り入れるだけでは上手く活用できません。デジタル人材に必要なスキルには、デジタル技術に関するものだけでなく、プロジェクトチームをまとめる力など、コミュニケーション能力も含まれます。具体的なスキルについては後述します。
デジタル人材が必要とされる背景
デジタル人材が必要とされる背景には、業務効率化の機運の高まりや、ビジネスモデル・企業風土の変革が重視されていることなどが挙げられます。
しかし、高まる需要とは裏腹に、市場全体のデジタル人材不足は深刻です。2021年7月に総務省が発表した「令和3年版情報通信白書」によれば、日本におけるデジタルトランスフォーメーションを進める際の課題の第1位は「人材不足」で、過半数を超える53.1%となっています。(※1)
このような状況から、知識に富んだデジタル人材を採用活動だけで確保することは難しく、自社で育成することも視野に入れることが重要とされています。
(※1)出典:令和3年版情報通信白書|デジタルトランスフォーメーションにおける課題|総務省
デジタル人材に求められるスキル
デジタル人材に求められるスキルとして、ITに関する基礎知識やデータマネジメントスキル、プロジェクトチームをまとめる力などが挙げられます。ここでは、デジタル人材に求められる5つのスキルについて解説します。
1.ITに関する基礎知識
デジタル人材として活躍するためには、ITに関する基礎知識を身につける必要があります。ITに関する基礎知識とは、アプリケーションやWebなどの一般的な知識だけでなく、AIやIoTなどの最先端技術にも関心を持つことが大切です。日々進歩を続けていくデジタル技術の情報に注目し、学び続ける姿勢が重要です。
また、ITに関する基礎知識を活用し、自社の課題に適した解決策を導き出す「課題解決力」も、デジタル人材に求められるスキルのひとつです。
2.データマネジメントスキル
データマネジメントスキルは、デジタル人材にとって重要なスキルのひとつです。データマネジメントスキルとは、自社が収集した大量のデータを適切に蓄積・管理し、必要に応じて加工するスキルを指します。
収集したデータは、データとして存在するだけでは意味を持たず、分析して活用することで、初めて効果を発揮します。そのため、データを分析・活用できるように適切な形でデータを扱うデータマネジメントスキルが、デジタル人材には求められます。データにはさまざまな種類があるため、それぞれのデータの特徴に沿って、最適な活用方法を考えることが大切です。
3.プロジェクトチームをまとめる力
デジタル技術を活用して社内の変革を促すためには、部門を超えたさまざまな人材の力が必要不可欠です。そのため、プロジェクトチームをまとめる力は、ITに関する知識やデータマネジメントスキルと並ぶ重要なスキルです。全社的なプロジェクトを円滑に進める上で、社内外の組織と調整を取ったり、人を動かしたりするため、プロジェクトマネージャーとして活躍できるだけの高いコミュニケーション能力が求められます。
4.課題設定力
課題設定力とは、目標の達成やプロジェクトを成功させるためにやるべきことは何か、どうすれば成功に導けるのか、考える能力のことです。課題を設定するには、現状と目標を正しく分析した結果、問題点を見極めて目標に近づけるプロセスが必要です。
今世の中には、デジタル技術やその技術を活用したシステムが多く存在します。課題を正しく設定できないまま、自社に合わない手段を選んでしまい、上手く成果が出せないといった問題が発生してしまいます。費用や時間を有効的に使うためにも、やるべきことを自ら見極めて実行するための課題設定力がデジタル人材には必要です。
5.論理的・多面的思考力
デジタル人材には、論理的思考や多面的思考が求められます。論理的思考とは、物事を正しく整理し、矛盾なく考えられる能力のことです。多面的思考力とは、物事を片方からの視点ではなく、多面的に判断して整理する能力をいいます。これら2つの能力によって、情報や本質に対する理解力を高められます。
新しいデジタル技術が生まれ続ける現代において、これまでの方法に固執することなく新たな手法を見出すことも重要です。したがって、ゼロから物事を考えられるゼロベース思考もデジタル人材に必要なスキルといえるでしょう。
デジタル人材の育成フロー
デジタル人材の育成フローは、デジタル人材に適した人材を選び、マインドセットを学んだ後、OJTで実務を身につけるのが一般的です。また、最新情報を得られる環境の構築も、重要な要素のひとつです。ここでは、4つのフローについて解説します。
1.デジタル人材に適した人材を選ぶ
デジタル人材を育成するときは、まず最初に、デジタル人材に適した人材を選出する必要があります。プロジェクトをまとめられるようなコミュニケーション能力や課題を設定できる力、論理的・多面的な思考ができる人材が、デジタル人材として適しています。
これに加え、既にITに関する基礎知識やデジタルマネジメントスキルを持った人材がいれば、これ以上の適任者はいないと言っても過言ではありません。
2.マインドセットを学ぶ研修を実施する
デジタル人材は、スキルセットと並行して、マインドセットを身につけることも大切です。デジタル人材は、一般的なIT知識やスキルを活用しつつ、時には最先端の技術も取り入れて、従来の業務を大幅に変革する必要があります。したがって、現状の運用が大きく変化するような場面であっても、変化を恐れず取り組むマインドセットが必要不可欠です。
3.OJTで実務を身に付ける
研修を通して、デジタル人材に必要な基本的なスキルセットを身につけることが可能です。しかし、研修で学んだ内容だけでは現場で十分に活用することが難しいため、OJTを通して実務で活用できる人材に育てる必要があります。
OJTでの目的は、社内や所属部門などの小規模なプロジェクトにおいて、身につけたスキルセットを活用し、実行力を高めることです。また、OJTを実施した後は、必ず客観的な評価を行い、改善点を明らかにして、さらなるスキルアップを図ることが大切です。
社内でOJTを遂行することが難しい場合は、外部に指導役を頼むことも方法のひとつです。コンサルタントが実務に並走しながら、OJT形式でデジタル人材を育成するDX BOOSTERを活用することで、デジタル人材のスキルアップが目指せます。
4.最新情報を得られる環境を構築する
デジタル技術は常に進歩を続けており、次々と新たな技術やサービスが登場しています。そのため、効率よく情報を集めるには、最新情報が得られる環境を構築することが重要です。特にポイントとなるのが「社内外のネットワークの構築」です。
社内外のネットワークの例としては、高い専門性を持つ人材がSNSで発信している内容を参考にしたり、組織を超えた情報交換会などのコミュニティに参加したりする方法が挙げられます。
デジタル人材の育成が難しい企業の課題
デジタル人材の育成が円滑に進まない企業の要因として、「育成環境が整っていない」ことが挙げられます。例えば、デジタル人材を育成するためのスキルを持った人材がいないとなると、もちろんデジタル人材の育成を図ることはできません。こうした現場は多く、デジタル人材の確保をより一層困難にしているとみられます。
また、高いスキルを持ったデジタル人材を抱えていたとしても、人材を活かせるマネージャーが不足していたり、年功序列を基本とした雇用形態によって流動性が低下していたりするケースも少なくありません。
他にも、現場レベルではデジタル人材の重要性を理解しているにもかかわらず、経営層のデジタル技術への理解が不足しており、思うように人材確保が進まないなどの課題が考えられます。
上記のようなさまざまな課題を抱える企業においては、自社だけで人材を育成しようとせず、外部リソースの利用も検討し、デジタル人材の育成に特化したサービスを取り入れるのがおすすめです。外部リソースを利用することで、自社に人材育成の土壌が整っていなくても、十分なスキルを持ったデジタル人材を育成できます。
デジタル人材の育成の問題を解決する「DX BOOSTER」
DX推進や働き方改革の機運の高まりによって、業種・業態を問わず、デジタル人材の確保が喫緊の課題となっています。しかし、デジタル人材の重要性が高まる一方で、市場におけるデジタル人材の不足は深刻です。
デジタル人材を育成するためには、デジタル人材を教育できる、デジタルに強い人材の確保が必要不可欠です。とはいえ、市場の人材不足が一因で、すぐに教育できる人材を用意するのは難しい状況にあります。また、デジタル人材として活躍したいと思っていても、研修やセミナーで得た知識の活かし方が分からないケースも少なくありません。
社内にデジタル人材がいないため、効果的なマーケティングができないといった悩みを抱えている方は、デジタル人材育成プログラム「DX BOOSTER」をぜひご利用ください。現場に合わせてカスタマイズしたプログラムにより、短期間でDX人材の育成を実現し、経験豊富なコンサルタントが丁寧な自走支援を行います。