デジタルマーケティングとは|必要性や有効な施策・手法を基礎から解説
現代ではインターネットの利用が急速に増え、同時にデジタルマーケティングの需要も高まっています。デジタルマーケティングは多くの企業で取り組まれている一方で、どのように取り組んでいけばよいのか、また何から始めればいいのかなど社内にノウハウが蓄積されておらず、うまく推進できていない企業が多いことも事実です。
そこで、本記事ではデジタルマーケティングの基礎知識、施策・手法などを解説します。デジタルマーケティングの考え方や、推進方法の参考にしてください。
目次
デジタルマーケティングとは?定義や目的
デジタルマーケティングとは、デジタル技術を活用したマーケティングの総称です。例えばインターネットやアプリ、IT技術、AI技術、IoTなど、さまざまなデジタル技術を応用したマーケティングを指します。
デジタルマーケティングが注目されている背景には、パソコンやスマートフォンなどの保有率の増加、インターネット技術の高度化が挙げられます。消費者の購買行動は、これらのデバイスを活用することで大きく変容しました。
当然、企業側も消費行動の変化に合わせて、マーケティング手法を模索する必要があります。また、デジタル技術の進歩により購買履歴・顧客属性データを収集しやすくなったことで、いっそう詳細な顧客ニーズを把握できるようになりました。
以上のことから、デジタルマーケティングの目的はインターネットによる情報収集を日常的に行う消費者に対し、効果的なアプローチをすることといえます。さらには、デジタル技術で自社および商品・サービスの販促を行い、売上・利益を最大化することが重要です。
デジタルマーケティングとDXについて
デジタルマーケティングの理解を深めるために、DXについても解説します。DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、デジタル技術を用いた革新といった意味があります。つまりビジネスにおいては、企業がAIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を駆使し、新たなビジネスモデルの創出、組織・企業風土を変革することを指します。
集計業務の自動化や電子契約法への対応、Web会議ツールの活用などは単なるデジタル化であり、DXとはいえません。DXの目的は、デジタル化を進めたうえで最新技術を用いて市場の新たなニーズに対応し、企業の競争上の優位性を目指すことです。
そして、デジタルマーケティングはまさにDXの一部です。マーケティング部門は市場における自社の優位性獲得が目的なので、DXの推進も任されるケースが少なくありません。またDXは企業活動以外の分野でも進められており、デジタル技術の発展にともなって消費者行動も変容しています。
企業がそういった変化に対応するためには従来のマーケティング手法だけでは不十分であり、マーケティングへのデジタル技術の活用が求められています。
デジタルマーケティングが企業にとって必要な理由・注目されている背景
企業にデジタルマーケティングが求められる理由、注目されている主な背景について見ていきましょう。
第一に、スマートフォン・タブレットの普及が挙げられます。総務省が毎年発行している「情報通信白書」によると情報通信機器の世帯保有率は97.3%であり、ほとんどの世帯でスマートフォンやタブレットを保有していることが明らかになりました。
(参照:総務省「令和4年版情報通信白書 第8節 デジタル活用の動向」)
情報通信機器の世帯保有率の高さは、インターネットの普及により現代では情報が溢れていることも同時に意味しています。消費者は日々膨大な情報から、必要なものを取捨選択しているといえるでしょう。商品・サービスに関する情報源も口コミを参考にするケースが増え、より正確な情報を求める傾向が高まっています。
企業としては、個々のユーザーの属性やニーズを理解し、適切なアプローチをすることが求められています。そこで、デジタル技術を活用してユーザーの情報を分析し、適切な情報を届けるデジタルマーケティングが重要性を増しました。
また、新型コロナウイルスによるデジタルシフトも、デジタルマーケティングが求められるようになった背景のひとつです。今までは来店や対面による商談が主流でしたが、コロナ禍以降デジタルでの顧客との接点を模索・採用する必要性が生まれました。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い
デジタルマーケティングとWebマーケティングは混同されがちですが、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部といえます。
デジタルマーケティングは、主にWebサイトを活用したマーケティング活動のことです。具体的には、Web広告やSNSなどで集客してサービスサイトへのアクセスを増やし、コンバージョンにつなげる一連の流れを指します。
Webマーケティングの場合、扱うデータは基本的にWebサイト上で収集できる情報を対象とします。例えば、サイトの訪問者数やユーザーの属性、行動履歴などが挙げられるでしょう。これらの情報を分析してブラッシュアップを繰り返し、より成果につながるWebサイトに改善することが主な目的です。
一方デジタルマーケティングは、Webサイト以外の施策から得られるデータも活用します。例えば、アプリの利用履歴やIoTによる製品の利用状況、さらには獲得したリストへのCRM施策、動画を使ったエンゲージメントの情報も収集し、分析に活かします。つまりデジタルマーケティングでは、Webマーケティングよりも幅広い情報を扱う、という点が大きな違いです。
デジタルマーケティングの手法の例
デジタルマーケティングの具体的な手法を紹介します。デジタルマーケティング手法は多岐にわたり、それぞれ得られる効果も異なります。自社にマッチした手法を選びましょう。
1.Webサイト運営
Webサイト運営とはコーポレートサイトやサービスサイトを作成し、運営することです。デジタルマーケティングの基盤であり、他施策のベースになります。
自社のWebサイトは、消費者に正確な情報を伝える大切なツールです。SNSの台頭により口コミの重要性は高まっていますが、公式情報は企業のWebサイトで確認する消費者が多い傾向にあります。Webサイトがなければユーザーは必要な情報を得られず、見込み顧客を逃してしまうこともあるでしょう。
しかし、やみくもにWebサイトを運営すれば良いわけではなく、運営の目的やターゲットなどを十分に設計し、質の良いコンテンツを準備する必要があります。また、アクセス解析ツールを導入して分析・改善を継続して行うことで、より効果的な運用が期待できます。
2.オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社が運営するブログやWebマガジンなどのメディアの総称です。Webサイトは商品・サービスなどの情報を提供する場であるのに対し、オウンドメディアは顧客の悩みを解決するコンテンツを保管する場所です。
つまり、まだ自社の商品・サービスを知らない潜在顧客の獲得に適した施策といえます。また作成したコンテンツに十分なSEO対策を施すことで、検索結果に上位表示されれば訪問者数の増加が見込めます。
さらに良質なコンテンツを配信し続けられれば「この分野で最も知識量が多く信頼できる企業」という印象を与えられ、業界での優位性の確立や売上向上も期待できるでしょう。
3.SEO施策
SEO施策とは、検索エンジンの最適化を指します。具体的には、Googleで特定のキーワードを検索したときに、検索結果の上位に表示されるための戦略です。検索ボリュームの多いキーワードで上位表示されれば訪問者数が大幅に向上し、見込み顧客の増加・売上の拡大が期待できます。
なお、SEOは以下の2種類あります。
- テクニカルSEO:サイトの内容を検索エンジンに正しく伝えるために、サイト構造を最適化する方法
- コンテンツSEO:高品質なコンテンツを発信することで評価を高める方法
これらを用いてさまざまな層の顧客にアプローチできれば、広告費をかけずに認知度の向上が見込めます。非常にコストパフォーマンスの高い施策といえるでしょう。
4.メールマーケティング
メールマーケティングとは、メルマガや広告メールなどでWebサイトに集客する施策です。デジタルマーケティングは顧客からの接触を待つプル型の戦略が多いなか、メールマーケティングは直接アプローチできる、プッシュ型の戦略である点が特徴です。
また顧客情報を蓄積しておけば、さまざまな層の顧客と長期的に接点を保てる点もメリットといえます。顧客データを集めるためには、キャンペーンやクーポン発行にメールを利用すると効果的です。
さらにメールの発行に関しては複雑な知識が不要、かつ短期間で実施でき、比較的低コストで始められることもポイントです。メールマーケティングを効果的に使えば、費用を抑えつつ大きな利益を上げられるでしょう。
5.マーケティング・オートメーション(MA)
マーケティング・オートメーションとは、マーケティングの一連業務を自動化することです。マーケティング活動には膨大な業務が存在するため、能率的な運用が求められます。
マーケティング・オートメーションは、メール配信・アクセス分析・見込み顧客管理・スコアリングなどの業務の自動化が可能です。つまり、見込み顧客が注文に至るまでの間、適切なタイミングで有効なアプローチができます。
例えば、資料請求した顧客に3日後自動的にセミナー案内メールを送り、関心が高いとスコアリングされた顧客には、営業担当者からの架電を促すといった、顧客ごとに最適な施策を少ない手間で実行できます。
6.アクセス解析
アクセス解析とはWebサイトを訪れたユーザーの行動や属性を分析し、Webサイトの改善・効果検証をすることです。Webサイトの現状を正しく理解し、精度を高めていくためには非常に重要な施策です。
アクセス解析では、ユーザーがサイトに流入した際に検索したキーワード、ページを見ていた時間、コンバージョンに至るまでの経路などを可視化できます。また広告を運用している企業の場合、アクセス解析を行うと各広告の流入数や成約率を分析でき、今後のブラッシュアップに役立ちます。
7.動画マーケティング
動画マーケティングとは、動画を活用した商品・サービスの認知拡大や販促活動のことです。動画マーケティングには、動画コンテンツを作成して販促物として活用する方法や、YouTubeなどの動画投稿プラットフォーム内に広告動画を挟み込む手法などがあります。
こうしたYouTube広告は従来のCMとは異なり、ターゲティングしやすいことが特徴です。そのうえ、動画はテキストや静止画に比べて短時間で多くの情報を伝えられ、記憶にも残りやすいといわれています。
動画を掲載できるプラットフォームは年々増加しています。SNSやタクシー内動画、デジタルサイネージなど、目的に応じて使い分けましょう。
8.SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、SNSを活用したマーケティング手法の総称です。例えば、SNS上で商品・サービスの情報を発信、SNS上に広告を出稿、インフルエンサーを活用した宣伝などはSNSマーケティングの一種です。
SNSマーケティングの重要度は年々高まっています。なぜなら、ニーズが明確でない、商品・サービスを知らない潜在顧客層へのアプローチに適しているためです。また、SNSは拡散力が高いため、ユーザーの興味を引く投稿ができれば、広告費用をかけずに多くの人に認知される可能性があります。
「SNSの情報をきっかけに初めて利用するECサイトで商品を購入したことがあるか」というアンケートでは、50%以上のユーザーが「ある」と回答しており、SNSの影響力の強さを物語っています。
(参考:SMM Lab「5大SNSユーザーによる「SNSをきっかけとした購買行動・口コミ行動調査結果」公開!」)
9.コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは消費者に有益な情報を提供し、そのなかで自社や商品・サービスを知ってもらうマーケティングの総称です。前述したオウンドメディアや動画マーケティング、SNSマーケティングもコンテンツマーケティングに含まれます。
広告との違いは自社のノウハウや情報をコンテンツにし、ユーザーの知りたいことに答えたり、悩みごとを解決したりすることに重きを置いている点です。
コンテンツの掲載自体に費用は発生しないため、集客につながるキラーコンテンツが作成できれば高い費用対効果が見込めます。また、有益なコンテンツはユーザーによって拡散される可能性もあるでしょう。
10.その他デジタルマーケティング手法
・MEO対策
MEO対策はGoogleマップなどの地図検索で、上位を目指すための施策です。例えば、旅行中に現在地周辺のカフェを調べる際、地図検索を使うユーザーは多くいます。そういったときに上位に表示されると、競合店と差をつけられます。実店舗を構えている場合、積極的に取り組みましょう。
・アプリマーケティング
スマートフォンやタブレットのアプリ機能を使って顧客と関係を構築し、商品・サービスの購入を促す手法です。例えばクーポンを配布したり、ポイントカード連携したりすることで、集客やロイヤルティ化を図ります。
・ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは課題解決につながる情報や、商品・サービスの情報をまとめた資料のことです。コンテンツマーケティングの一種で、主にBtoBマーケティングで採用されます。ホワイトペーパーをダウンロードしてもらうことで見込み顧客の情報を獲得し、次のセールスにつなげられます。
・IoT活用
IoTとはインターネットと物の連携を指し、従来では収集できなかった顧客の動きを収集・データ化する方法です。例えば、プリンタのインク残量に応じたアプローチや、自動販売機に電子決済を導入することで、利用者データを収集することなどが該当します。
新しい施策は次々に開発されるため、担当者は常に情報をアップデートするように心がけましょう。
デジタルマーケティングの広告施策の例
デジタルマーケティングで欠かせないのが、Web広告の運用です。従来のマスメディア広告は不特定多数のユーザーに対する認知拡大を目的としており、売上への直接的な関連性を詳細に分析できませんでした。一方で、Web広告はターゲティングできるうえに売上に直接つながる施策が多く、低コストで始められるものもあります。
またWebサイトを保有しているだけでは、ターゲットとなる顧客がたどり着く可能性は低いため、ほかの施策とかけ合わせることが重要です。その手段としてWeb広告の出稿が挙げられ、デジタルマーケティングに取り組む多くの企業が活用しています。
しかしWeb広告にもさまざまな種類があり、どれを選べば良いのか迷ってしまう企業が多いことも事実です。本項では主なWeb広告施策を紹介します。
1.リスティング広告
リスティング広告とは、ユーザーが検索したキーワードに連動して表示される広告のことです。Web広告のなかでも即効性があり、高い効果が見込めます。例えば「Web広告 代理店」と検索したユーザーに対し、広告代理店のサービスサイトへのリンクをテキスト形式で表示できます。
悩みや課題をもつ訴求力の高いユーザーに届きやすく、キーワードの設定だけでなく配信日時や地域も絞れるため、ピンポイントに広告を配信できます。
また、リスティング広告の料金体系はクリック課金制であり、広告がクリックされたときのみ課金されます。つまり商品・サービスに関心の高い見込み顧客にのみコストをかけ、アプローチできるのが魅力です。
2.SNS広告
SNS広告とは、TwitterやInstagramなどのSNSに掲載される広告を指します。ターゲティングに優れており、潜在顧客へのアプローチに効果的です。SNSのタイムラインやフィード欄に表示され、テキストだけでなく画像や動画でも訴求できます。
SNS広告はターゲティング精度の高さが魅力です。SNSアカウントには年齢・性別・趣味・地域などの情報が登録されており、それらのデータを広告に反映できます。また投稿内容やほかの投稿へのリアクションから属性を絞り、広告を配信できるケースもあります。
さらにユーザーのUIに違和感なく溶け込むため受け入れられやすく、場合によっては拡散が起こることもあるでしょう。広告費用がリーズナブルな点も特徴です。
3.ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、広告枠があるWebサイトに表示される画像・動画・テキスト、あるいはそれらを組み合わせた広告のことです。Webサイトの内容に応じて表示されるため、コンテンツ連動型広告とも呼ばれます。
費用面での優位性が高く、リスティング広告と比べてクリック単価が低いことが特徴です。したがって、同じ予算でもディスプレイ広告の方が多くの人にリーチできます。
潜在顧客に向けて配信しやすく、商品・サービスの認知拡大に効果的です。また画像や動画を活用できるため、テキストのみの広告よりも視覚的に伝えやすく、内容によってはユーザーの関心を強く引く可能性があります。
4.純広告
純広告とは、特定のメディアの広告枠に一定期間広告を掲載する手法です。代表的なものには、Yahoo! Japanトップページの広告枠が挙げられます。
純広告の特徴は、そのサイトを訪れるすべてのユーザーにリーチできる点です。また、掲載期間や表示回数が保証されている場合が多く、1回の掲載につき金額が定められています。
そのため、クリックが一切発生しなくても費用を払うことになる点には注意が必要です。また、ユーザー属性に関係なく表示されるためターゲティングの精度が低く、掲載中の広告は途中で変更できません。掲載を検討する場合は、アクセス数や自社の商品・サービスのターゲット層が多く流入するかなど、入念にメディアの選定を行いましょう。
5.動画広告
動画広告とは、YouTubeやSNSでの動画を活用した広告です。動画をメインコンテンツとしたSNS・プラットフォームの利用者や、情報収集の手段に動画を選ぶユーザーの増加によりニーズが高まりました。
動画広告は主に2種類あり、YouTubeやその他動画アプリなどで動画が再生されるまでに流れるCMを指す「インストリーム広告」と、ブログの記事やSNSのタイムライン上に出てくる「インフィード広告」に大別されます。
なお、インフィード広告は動画だけでなく静止画も含むため、動画のみの広告を指す場合に、インリード広告と表記されることもあります。動画広告はブランドの世界観や、商品・サービスの特性を伝える場合に効果的です。
6.その他広告施策
・アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、アフィリエイトリンクからWebサイトに流入し、商品購入や資料請求などをした際に費用が発生する成果報酬型広告です。費用対効果に優れています。
・アドネットワーク
アドネットワークとは、複数の広告掲載媒体をまとめ、広告配信するためのネットワークを形成する仕組みです。多数の広告を効率的に運用できます。
・リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、一度サイトに訪れたユーザーに絞って広告を配信する手法のことです。すでに興味がある見込み顧客にアプローチでき、休眠顧客の掘り起こしにも適しています。
・ネイティブ広告
ネイティブ広告とは、ニュース・情報サイトのコンテンツや記事のなかに表示される広告です。コンテンツ内容を邪魔せず、広告らしさが薄れる点が特徴です。
・記事広告
記事広告とは、Webニュースサイトやオウンドメディアなどに記事形式で掲載される広告を指します。タイアップ記事とも呼ばれ、メディアを訪れたユーザーに興味をもたれやすい手法です。
・デジタルサイネージ
デジタルサイネージとは、ディスプレイタイプの看板のことです。駅や施設、オフィスなどの映像表示装置から動画を流すことで、看板よりも多くの情報を発信できます。
デジタルマーケティングの事例紹介
デジタルマーケティングに取り組んでいる企業は、どのような背景・課題を感じ導入したのでしょうか。デジタルマーケティングへの取り組みや得られた成果も含め、実際の導入事例を紹介します。
株式会社長野銀行の事例
株式会社長野銀行は、かねてより個人向けローンサービスを中心に複数のWebサービスを展開していました。いっそうサービス向上・デジタル化に注力するため、非対面サービス推進部隊「営業企画・チャネル戦略グループ」を立ち上げました。
しかし、同社のWebサイトはユーザビリティが低く、一貫したサイト制作ができていないことが当時の課題でした。加えて、デジタルマーケティングに対する知識が乏しく、問題の特定・改善方針の決定ができませんでした。
そこで個人の能力を上げるだけでなく、チームや会社としてDXへの理解が重要と考え、社員を対象に大規模なDX人材の育成を実施。その結果、チーム内で共通したIT用語・Web広告用語を用いたコミュニケーションができるようになり、スムーズな情報共有が可能になりました。
また、会社全体のデジタルマーケティングへの関心が高まったことにより、経営企画部門・ソリューション営業部・システム関連部門など、各部門が横断的に協力しあえる環境づくりに成功しました。
(参照:「株式会社長野銀行|CRM事例」)
株式会社竹中工務店の事例
株式会社竹中工務店を擁する竹中グループは「竹中技術研究所」という研究所を構えています。そして研究所では、同社が生み出した技術や工夫を発信するためのサイト運用を行っています。
しかし発信する情報は多岐にわたっており、コンテンツの種類やターゲットも幅広いため、運営は簡単ではありませんでした。そのうえ、10年以上大幅な更新が行われておらず突貫工事でサイトをリニューアルし、ターゲティングやサイト分析も不十分でした。
そこで、同社は分析・課題抽出をするために「Googleアナリティクス」の使い方や活用方法を習得。また、そこから収集したデータをもとに、分析する方法や改善策の考え方を学びました。
その結果、改善点をロジカルに抽出できるようになり、サイト運営の最適化に成功します。データ活用の幅が広がり、その他業務にも活かされています。
(参照:「株式会社竹中工務店|CRM事例」)
SCSK株式会社の事例
SCSK株式会社は、通信業・流通・金融をはじめとする幅広い業界にITインフラ構築やシステム開発、コンサルティングなどあらゆるITサービスの提供を行っている企業です。
多岐にわたりサービスを展開する同社は、SCSKネットワーク関連サービスのブランディングや、販売促進のためデジタルマーケティング戦略が必要と考えていました。そこで、ネットワークサービスをまとめた総合サイトを新規で立ち上げました。
総合サイト立ち上げ時には、徹底的にターゲットを設定。具体的には、キーワード検索ボリュームを読み解き、ターゲットのボリューム感にも配慮したペルソナを設定しました。
それにより、当初想定していたキーワードとは別のキーワードでの検索が多いことが判明。客観的なデータに基づく戦略設計を作成できました。結果として戦略とアウトプットがつながったサイトを開設でき、効率的な運営を実現しました。
(参照「SCSK株式会社|CRM事例」)
今後マーケ担当者や企業に求められること・課題
導入事例から今後マーケティング担当者が企業に求められることや、課題感が見えてきたのではないでしょうか。そこで、あらためてマーケティング担当者がデジタルマーケティングをうまく運用していくために求められることを解説します。
デジタル技術を用いた顧客との関係構築
マーケティング担当者は積極的に新しいツールやテクノロジーを活用し、あらゆるチャネルにおいて顧客と関係を構築する必要があります。つまり、ターゲットとなる顧客がどこで、どのように消費行動しているか把握し、デジタル技術を用いて適切にコミュニケーションを取ることが重要です。
新しいテクノロジーが日々生まれている現代において、デジタル技術が消費行動にも大きな影響を与えることを踏まえて、企業は変化に対応する必要があります。スマートフォンが登場し、気軽にインターネットの利用が可能になったように、それと同じまたはそれ以上のイノベーションがこれからも起こる可能性があるでしょう。
今後はあらゆるデジタルマーケティングを通じて、さまざまな角度から顧客接点を構築するためのコミュニケーション設計が重要となると考えられます。つまり、企業は新しいツールやテクノロジーを積極的に取り入れ、顧客に適切なアプローチを実現するために、マーケティング手法を継続的に模索していく必要があります。
デジタルマーケティングの目的を明確にする
新しいツールやテクノロジーは積極的に取り入れるべきですが、目的を忘れてはなりません。陥りがちなのは「トレンドだから」と、むやみに新しい手法を取り入れることです。そうなると、マーケティング手法を使うこと自体が目的になってしまいます。
大切なのは、目的に応じたソリューションを模索することです。よって、まずは目的を達成するためのコンバージョン・成果を、どこに設定すべきなのか明確に定めましょう。例えば「無料会員登録獲得」「CPA最適化」「LTV向上」などがコンバージョンとしてよく設定されます。
これらを総合すると、以下の施策の場合どちらが優れていると判断できるでしょう。
- 施策A:顧客獲得単価が5,000円 10件の問い合わせを獲得
- 施策B:顧客獲得単価が10,000円 30件の問い合わせを獲得
どちらも目的がないので、施策の優劣を付けられないことがわかります。一概に30件獲得できる施策Bが優れているとはいえないでしょう。
デジタルマーケティングから会社のDXにつなげる
前述のとおり、DXは企業にとって早急に取り組まなければならない課題である一方、一朝一夕でできるものではありません。一気に大改革を行うことも可能ですが、現場の混乱防止や軌道に乗るまでの期間を考慮して、徐々に浸透させていきましょう。
DX推進の一例としては、まずはアナログで行っていた社内業務をデジタル化し、業務効率の向上を目指します。そしてMAツールを導入し、データを収集しながら今まで手作業で行っていたメール配信などを自動化させます。社員は今まで事務作業に費やしていた時間を、よりクリエイティブな業務に充てられます。
続いて収集した技術を活用し、顧客や社会のニーズに対し先回りしたマーケティング戦略を策定しましょう。例えば、顧客の離脱につながるボトルネックを特定し、課題を解決するためのフォローセミナーを開催するといった施策が考えられます。デジタル技術やデータ活用によって、売上向上や利益拡充が見込めるでしょう。
デジタルマーケティングによる顧客情報の収集・分析は、DX推進の土台になります。企業はデジタルマーケティングを効果的に活用し、その先にあるDX推進も目指すことが求められます。
デジタルマーケティングを戦略的に進めるために
企業を取り巻く背景やデジタルマーケティングの概要、主要な手法を解説してきました。
従来と比べるとマーケティング手法は複雑化しており、企業や担当者には今後ますます高いレベルの知識・スキルが求められます。企業が末永く事業を続けるためには、デジタルマーケティングスキルをもつ人材の育成・確保は重要な課題といえます。
デジタルマーケティングスキルを養うためには、DX人材の育成と企業のDX推進に特化したサービス「DX BOOSTER」が効果的です。「DX BOOSTER」はマーケ担当者に経験豊富なコンサルタントが6ヶ月伴走することで、すぐに現場で実践できるノウハウを提供する、担当者自走支援サービスです。
セミナーでは学べないようなスキルが実践で身につき、人材派遣のようにその場しのぎの対応にもなりません。先を見据えてDX人材を確保するなら、着実にスキルを養える手段を選ぶことをおすすめします。
詳しくはこちらからご覧ください。